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女「今日はどんな事件があったの?」 ②

女「今日はどんな事件があったの?」 ① の続きです。


ウミガメのスープのSS形式バージョンです。
一応出題編と解答編に分けて投下します。
適当に楽しんでください。
知ってる人はニヤニヤ(゜∀゜)しててください。


ウミガメのスープスレ、ウミガメサイト、友人の出してくれた問題、推理小説などから出していきます


 106 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 20:25:52 ID:pHGDU6P. [1/15]

【出題編:トランプと二つの死体】



女「最近、暑いですねえ」

男「ああ」

女「冷凍庫とかにアイスない?」

男「ないな」

女「新しいクーラーを購入する予定は?」

男「ないな」

女「うー」

男「修理屋が都合つかなくてな、来週まで我慢してくれだとさ」



 107 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 20:33:13 ID:pHGDU6P. [2/15]

女「なにか面白いことはないですか?」

男「トランプならあるぞ」

女「トランプ!? なんて子ども騙しなっ!」

男「いやいや、これで馬鹿にできないもんだぞ?」

男「お、そうだ、ちょっと古いがトランプにまつわる事件を思い出した」

女「お、いいですねえ、そういうのを待ってたんですよ」



 108 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 20:37:29 ID:pHGDU6P. [3/15]

男「ある男が、窓を覗き込んだ」

女「ふむ?」

男「窓の中には、散乱したトランプ、そして二人の死体があった」

男「便宜的に片方をA、もう片方をBとしようか」

女「ふむふむ」

男「Aは手に拳銃を持って死んでいた」

男「Bは苦悶の表情で死んでいた」

女「おおう」

男「さて、どういう状況で二人は死んだのだろうか」



 109 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 20:47:22 ID:pHGDU6P. [4/15]

女「んーなんだか複雑そうな事件」

女「とりあえずAが拳銃持ってて、Bが苦しそうに死んでたのなら、Bは撃たれて死んだってことよね?」

男「NO」

女「え!? 違うの?」

男「残念ながら」

女「じゃあ……毒で死んでた?」

男「それも違う」

女「……」



 110 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 20:52:35 ID:pHGDU6P. [5/15]

男「だいぶ細部をぼかしているから、状況整理した方がいいと思うぜ」

女「なんでそんなぼかすんですかー」

男「その方がお前、面白いだろ?」

女「まあそりゃ、そうですけど……」

女「じゃあ、えっと、男は窓を覗く前から、二人が死んでいることを知っていた?」

男「NO」

女「予測はできた?」

男「まあ、予測はできたな」

女「それって家の窓ですよね?」

男「NO」



 111 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 20:59:55 ID:pHGDU6P. [6/15]

女「ん? 家じゃない?」

男「場所が重要だな」

女「他に窓っていうと……車?」

男「違う」

女「学校?」

男「違う」

女「ビル?」

男「違う」



 112 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:06:31 ID:pHGDU6P. [7/15]

女「それは建物についている窓?」

男「違う」

女「じゃあ……乗り物?」

男「そうだ」

女「乗り物の窓から覗いたら死人が二人、しかもそれは予測できたこと……」

女「……電車」

男「違う」

女「タクシー?」

男「違う」



 113 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:12:10 ID:pHGDU6P. [8/15]

女「ヘリコプター?」

男「違う」

女「……」

男「窓のある乗り物、他に?」

女「……あ、船!」

男「正解」

女「船で死んでたのね?」

男「とても重要な点だな」



 114 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:21:30 ID:pHGDU6P. [9/15]

女「それからトランプ……拳銃……」

男「死因がわかれば、トランプの意味も見えてくるかもな」

女「死因が大事なのかあ」

男「Bは拳銃で死んだのでもなく、毒で死んだのでもない」

女「しかし苦悶の表情で、と」

男「うむ」

女「あれ? Bが拳銃で死んだのでないとしたら……?」

男「ん?」



 115 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:26:12 ID:pHGDU6P. [10/15]

女「Aは拳銃で死んだ?」

男「お、正解」

女「じゃあ、つまり、自分で引き金を引いて死んだってこと?」

男「ああ」

女「Aは自殺……か」

女「Bは自殺?」

男「違う」

女「Aに殺された?」

男「それも違う」



 116 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:35:08 ID:pHGDU6P. [11/15]

女「事故死? 他殺? 自殺? あ、それとも病死?」

男「その中で言うと……事故死だろうな」

女「船の中で事故死……かあ」

男「そして、苦悶の表情となると……」

女「水死? 溺死ね?」

男「ああ、そうだ」



 117 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:44:08 ID:pHGDU6P. [12/15]

女「Aは拳銃自殺、Bは溺死」

女「部屋の中にはトランプが散乱……」

女「あ、そうか、その船って沈んでたのね?」

男「そうだな」

女「じゃあそれを見つけた人ってのはダイバーかなにか?」

男「ああ」

女「だからそれを予測できたかもって言ったのね」



 118 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:51:01 ID:pHGDU6P. [13/15]

男「さて、あとはトランプの意味だ」

女「それよねえ」

女「そのトランプを使って、二人はなにか勝負をしていた?」

男「ああ」

女「なにかを賭けていた?」

男「ああ」

男「その賭けに勝ったのは、どちらか」

女「勝ったのは……Aね」

男「その通り」



 119 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/05(土) 21:58:55 ID:pHGDU6P. [14/15]

女「もしかして、トランプばっかりしていたから悲劇が起きたのかしら?」

男「そうかもしれないな」

女「死を目の前にすると、人って恐ろしいことを考えるものね」

男「合理的で人間らしいともいえるんじゃないかな」

女「最後に一つだけ、聞かせて」

男「ああ」

女「拳銃には、もう弾は一発も残っていなかったのよね?」

男「ああ」



 121 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/05(土) 22:59:58 ID:vj8oHM/6

wktk
拳銃には一発しか弾がなかった、ということだと思う
それを二人は賭けていた



 123 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/05(土) 23:18:35 ID:zilnx8to

船が事故に遭い、船室の二人は逃げ出そうとしたが、何らかの理由で部屋から出ることが出来なかった。
このままでは、溺死は免れない……。
そんな折り、どちらかが拳銃を取りだし、ある賭けを持ちかける。

「このまま俺達は死ぬのだろう。
だが、俺は苦しみ抜いて死ぬなんて耐えられない。お前だってそうだろう?
そこで、どうだろう。ちょうど此処に銃がある。弾は一発しかないがね。
勝った方が、楽になれる。負けた方は、全て水に流す。
最後のギャンブルにしちゃ、悪くないだろ?」

かくしてAは勝ち、Bは負け、全ては水の泡に消えた。

……かなぁ? いやでもそれならロシアンルーレットでいいじゃん、ってなるんだよなぁ



 124 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/06(日) 21:54:38 ID:pFZSVBYE

共に死のうと誓い合ったAとBだったが、Aは死が迫る恐怖のあまり錯乱してしまった
そして拳銃を握って自身の頭を打ち抜いて命を絶つ
Bは突然の出来事に困惑し、その後荒れ狂う感情のあまり近くにあったトランプを薙ぎ払った
Bはトランプの鋭利さに目を付け、その細い側面を首にあてて素早く動かした
しかしそれは致命傷にまで至らず、けれども体の自由を奪う激痛に苦悶の表情でのたうちまわることしかできなかった
船室に流れ込む水、せりあがる水位、奪われる呼吸、薄れゆく意識
深い絶望の中でBは裏切ったAを恨みながらこと切れたのであった

競馬なら大博打の展開にすべてのベットをつぎ込むぜ!



 126 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/06(日) 23:28:23 ID:86v5ewVY

船旅で時間を持て余した2人は船室でトランプをしていた。ギャンブルの好きな男たちだった。
船が沈みゆく中、2人は最後の博打を思いつく。悶え苦しみながら溺死するか、それとも苦しむ間もなくあの世に飛べるか、という。

てとこでどうだろうか?



 127 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/06(日) 23:30:32 ID:Nok2OnCE

拳銃がリボルバーってあったっけ
オートだとロシアンルーレットって選択肢は無くなるけど



 129 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/07(月) 20:15:40 ID:k1cK1sD6 [2/8]

【解答編:トランプと二つの死体】



女「ギャンブルが好きで好きでたまらない男が二人、船に乗っていた」

女「カジノのあるような、豪華客船だったのかしら?」

男「ああ、そうだ」

男「二人は揃ってカジノですっからかんになり、部屋で寂しく飲んでいたんだ」

女「そこでトランプを始めた?」

男「そう、金のなくなった二人は、あらゆるものを賭けて憂さを晴らしていた」

女「例えば?」

男「故郷の恋人、臓器、家族、将来買う土地の何%を譲る、とかなんとか」

女「愚かねえ」



 130 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/07(月) 20:22:49 ID:k1cK1sD6 [3/8]

女「でも、どうしてそんなことがわかるの?」

男「部屋の中に誓約書みたいなものがあったんだ」

男「まあ、酔っ払いが作ったものだから、法的価値はなかったが」

女「ふふ、変な話ね」

女「そうこうしているうちに事故が起こり、船が転覆」

女「逃げ出せない状況になってしまった」

男「その部屋を下にしてゆっくり転覆したんだ」

男「少し傾いた時点で気づいて、早く脱出すれば助かるかもしれなかったものを……」

女「不幸ね」

男「でも、自己責任とも言えるかな」



 131 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/07(月) 20:28:28 ID:k1cK1sD6 [4/8]

女「部屋に浸水してきて、このままでは二人とも溺死してしまうだろう」

女「万一船から逃れられても、サメのエサになるのがオチ」

男「溺死もサメのエサも、勘弁したいところだな」

女「苦しんで死ぬのは嫌だ、それなら拳銃で頭を一発の方がマシだ、と考えた」

女「どうせ死ぬなら、苦しみは一瞬の方がいいもんね」

男「追い込まれた末の人間の思考だな」

女「だけど船にあった拳銃には、弾は一発のみ」

女「だから最期に賭けたのね、拳銃で死ぬ権利を」

男「そういうことだ」



 132 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/07(月) 20:33:49 ID:k1cK1sD6 [5/8]

女「賭けトランプに勝ったAは、拳銃で自殺」

女「賭けに負けたBは、苦しんで溺死、か」

男「どのみち死ぬのなら、やはりBの方が不幸だったのだろうな」

女「その考え方は、理解できるわ」

女「Aは賭けに負け続けた人生の最期に、一発逆転勝利、ってとこかしらね」

男「どちらも地獄だが、針の山よりは血の池の方がマシ、ってなくらいのもんだろう」

男「逆転ってほどのものでもないな」



 133 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/07(月) 20:45:41 ID:k1cK1sD6 [6/8]

女「あーあ、そんな話を聞いちゃったら、トランプで遊びにくくなっちゃう」

男「まあ、稀なケースだろうけどな」

女「命を賭けてる人がいるんだもんなあ」

男「案外、賭博の世界で珍しくないかもしれないぜ?」

女「私も命の駆け引きの機会があれば、そんな思考に辿り着くこともあるのかしら」

男「そんな機会は一生来なくていいだろ」



 134 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/07(月) 20:51:12 ID:k1cK1sD6 [7/8]

女「あ、じゃあ所長、ちょっと私たちも賭けトランプをやりましょうか」

男「お? この流れでか?」

女「大したものは賭けませんって」

女「トランプに負けた方は……」

男「負けた方は?」

女「アイスを買いに行く!」

男「よし、その勝負乗った!」



 140 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 22:45:49 ID:0buvTjBM [2/28]

【出題編:今日は特別な日】



女「所長がお薦めする本、なにか読んでいいですか?」

男「ああ、その棚に並んでいるの、どれでも好きなの持って行っていいよ」

女「やっぱり推理小説が好きですか?」

男「ああ、そうだな」

女「仕事に役立つから?」

男「それもあるが、まあ、小説に出てくるようなトリックやらは現実的ではないな」

女「そうなんですか?」



 141 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 22:49:17 ID:0buvTjBM [3/28]

男「5W1Hってわかるか?」

女「英語の文法でやったやつ、かな?」

男「ああ、それが推理小説にも出てくるんだ」

女「へえ」

男「まずHは、Howだな」

男「つまり、どうやって」

女「誰かが殺されたとして、その方法がわからない場合ね?」

男「そうだ」

男「不可解な死に方をした場合に多い分類かな」



 142 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 22:51:29 ID:0buvTjBM [4/28]

男「次に、Who」

女「誰が、つまり犯人捜しね?」

男「ああ、これは結構多い分類だな」

女「誰にでも犯行は可能だった、とか?」

男「そうだ」

女「現実の事件はほとんどこれになるのでは?」

男「はは、そうかもしれないな」



 143 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 22:52:21 ID:0buvTjBM [5/28]

男「それから、Where」

女「どこで?」

男「犯行が行われた場所が不明、という場合だな」

男「死体が発見された場所は犯行現場ではないと明確な場合だ」

女「はあ、なるほど」

男「例は少ないが」

女「でしょうねえ、面白みには欠けそうですもんね」



 144 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 22:55:06 ID:0buvTjBM [6/28]

男「そしてWhen」

女「いつ?」

男「アリバイものがメインかな」

男「死体発見が遅れ、死亡推定時刻に幅がある」

男「それを絞ろうと情報を集めていく」

男「目撃証言でそれが狭まるが、もっとも怪しい容疑者にアリバイがある、みたいな感じだな」

女「本当に死んだのはいつか? って謎ね」



 145 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 22:56:56 ID:0buvTjBM [7/28]

男「で、What」

女「?」

男「なにが」

男「つまりなにが起こったか皆目わからない事件だな」

女「意味不明、ってこと?」

男「事件の痕跡はあるが、死体はない」

男「なにやら不思議な現象があるが、それがなんなのかわからない」

女「日常系の謎も含まれそうですね」



 146 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 22:58:55 ID:0buvTjBM [8/28]

女「最後はWhy?」

男「そう、なぜ、だ」

女「つまり動機ね?」

男「これも現実の世界に多そうなものだな」

女「犯行はほぼその人にしかできない、でもなぜそんなことをしたのかわからない」

男「そうだ」

女「同じ人間とはいえ、その動機には理解できないものも、たまにありますよね」

男「『誰でもよかった』なんていう、動機がない事件もあるしな」



 147 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:00:41 ID:0buvTjBM [9/28]

男「動機に鍵がある事件、聞きたいか?」

女「聞きたい! です!」

男「これはおれも少し噛んだんだが、そのままずばり、『なぜ?』と問いたくなるような事件だった」

女「うずうず」

男「とある刑務所に、死刑執行を待つ身の男がいた」

男「男は最期の日、要望したステーキとワイン、それにケーキを胃に入れ、刑場へ赴いた」

男「死刑執行は絞首刑だ」

男「首に縄をかけ目隠しをされ、刑務官がボタンを押すと床が開いて落ちる」

女「刑務官?」

男「死刑執行をする3人だ」

男「特定の一人が死刑を行う、ということにならないよう、3人が同時にボタンを押すんだ」

女「へえ」



 148 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:03:29 ID:0buvTjBM [10/28]

男「3つのボタンのうち、床が開くボタンはひとつだけ」

男「つまり、3人のうち誰が死刑執行のボタンを押したかわからなくするためだな」

女「どうしてそんなことを?」

男「自分の手が、死刑囚であれ人を殺すんだ」

男「3人のうち誰かが、ということにすれば、精神的な負担も薄れるだろう」

女「ううむ、なるほど」

男「しかし、だ」



 149 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:05:18 ID:0buvTjBM [11/28]

男「その処刑が行われる直前、つまり首に縄をかけ死を待つという瞬間」

男「突然その男が苦しみだし、泡を吹いて死んでしまう」

女「は!?」

男「職員が駆け寄るが、すでに手遅れ」

男「男は死刑になる寸前に、毒物で殺されてしまったんだ」

女「なんで!?」

男「まさにそれが、謎だった」



 150 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:22:40 ID:0buvTjBM [12/28]

女「だって、ほっておいても死刑で死ぬんでしょう?」

女「犯人が誰か知らないけど、わざわざ危険を冒して、死ぬ予定の人間を殺すなんて」

男「不可解な事件だったよ」

女「……意味が分からないわ」

男「しかし曲がりなりにも、理由がつけられるのさ」

女「それは推測の理由づけ?」

男「いや、もう犯人も動機もわかっているんだ」

女「……いるんだ」



 151 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:25:22 ID:0buvTjBM [13/28]

男「どういう意味だ?」

女「いや、自殺かなあとも思ったからさ」

女「絞首刑より、毒で死ぬ方が楽って考えたのかもしれないじゃない」

男「ああ、しかし結果的に苦しい死に方をしているしなあ」

女「犯人は、よっぽどその死刑囚が憎かったのかしら」

男「いや、違う」

男「犯人は死刑囚に特別の思いを抱いてはいなかった」



 152 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:28:03 ID:0buvTjBM [14/28]

女「じゃあ、快楽殺人?」

女「殺せるのなら、誰でもよかった」

女「だけど、どうせ死ぬんだからと、死刑囚を選んだ」

男「それも違う」

男「犯人の殺人の欲求の為に選ばれたわけでもなかった」

女「ううむ、わからん」



 153 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:30:04 ID:0buvTjBM [15/28]

男「犯行が可能だったのは、刑場に勤めていた職員たちだけだ」

男「公開されてはいなかったから、一般人や犯人が起こした事件の被害者も入り込めない」

女「じゃあ、その職員の中に犯人がいるのね?」

男「まあ……そうだな」

男「しかし、そうだな……『なぜ』以外の部分は言ってしまってもいいんだが」

女「んんー、じゃあ、ヒント多めでお願いします」

男「へいへい」



 154 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:34:15 ID:0buvTjBM [16/28]

女「その毒は、誰かが死刑囚には知られないように盛ったのよね?」

男「そうだ」

女「となると、もっとも怪しいのは刑の直前に食べたというステーキやらワインやら、ね」

男「その通り」

女「その中に、毒物か、もしくはカプセルなんかを入れた」

男「ああ、死刑囚の胃の中から、わずかながら毒物とカプセルの溶け残りが発見されている」

女「毒って飲んじゃったらすぐ死ぬんじゃないの?」

女「刑場へ行く途中に倒れることもあったかも」

男「ああ、タイミングを計ったのか偶然かはわからんが……」



 155 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:36:49 ID:0buvTjBM [17/28]

男「使われていたのは、遅効性の毒だ」

男「トリカブトにフグの毒を調合して作ったらしい」

女「それって普通の人でも手に入れられるもの?」

男「まあ、専門家でないと難しい、というほどのものでもないかな」

女「遅効性だと、どういうことになるわけ?」

男「幅はあるが、それは大体30分から1時間半くらいで効いてくる」

女「ああ、そんなに遅いんだ」



 156 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:38:38 ID:0buvTjBM [18/28]

男「犯人に、それほど確固たる狙いはなかった」

男「とにかく、死刑が行われる前に死なせたかったんだ」

女「最期の食事をしてから、刑が執行されるまでは少し時間があるんだ?」

男「ああ」

女「その間に毒が効かなかったら、意味がなくなっちゃった?」

男「そうだ」

女「じゃあ犯人は、ハラハラしていたかもね?」

女「刑が執行されそうになっているのに、まだ死なないものだから」

男「ああ、焦っていただろうな」



 157 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:41:23 ID:0buvTjBM [19/28]

女「刑務官が3人いて、あとはどんな人が刑場にいたの?」

男「神父、所長、執行の合図を送る者、検察官などだ」

女「そのうちに犯人がいるのね?」

男「いや、この中にはいなかった」

女「え!?」

男「このうちの誰もが疑われたが、犯行は可能であっても、動機を持つものが見つからなかった」

女「ううむ」



 158 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:43:04 ID:0buvTjBM [20/28]

女「料理に毒が盛れるのは、さっきの人たち以外にもいたってこと?」

男「ああ、もっとよく考えてみると、それらの人物が浮かんでくる」

女「えっと……」

女「あ、シェフね?」

女「最期の料理を作ってあげた人がいるはずだから、その人なら毒が盛れるわ!」

男「そうだ」

男「しかし、この男もまた無実だった」

女「あら」



 159 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:45:20 ID:0buvTjBM [21/28]

男「食事をとったのは刑場ではなく拘置所」

男「そちらにキッチンもあったし、最期の食事をとる部屋もあった」

女「そちらで毒を盛ったのね?」

男「ああ」

女「じゃあ、他の死刑囚とか?」

女「死刑に恐れるヒマを与えず、毒でコロッと殺してあげようと思ったとか」

男「いや、それも違う」

男「そもそも、他の死刑囚が毒を盛れるなんて、いくらなんでもセキュリティが甘いだろう」

女「そりゃそうか」

男「しかし死刑囚でなければ、誰でも割と簡単に入り込むことができた」



 160 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:47:06 ID:0buvTjBM [22/28]

男「ここを刑務所と考えず、もっと考えてみな」

男「この探偵事務所のあるビルだって、おれとお前以外も案外出入りしているもんだろ?」

女「えっと、えっと、ゴミ業者とか?」

男「はいはい、それから?」

女「なんかの勧誘とか、ビラ配りの人とか、宅配便とか……」

男「いるね、そういう人も」

男「ただそういう人間は、あまり中までは入ってこれないだろ?」

女「えっと、それから……」

男「ほら、この事務所がいつもきれいなのはなぜだ?」

男「片付け掃除のできないおれの事務所が、いつもゴミだらけにならない理由は?」

女「あ! 清掃員の人ね!?」



 161 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:50:35 ID:0buvTjBM [23/28]

男「そう、清掃員の女が、今回の犯人だった」

女「え? え? 一番動機なんて見つからなさそうだけど……」

男「犯人に特別な思い入れもない、誰でもいいから殺したかったわけでもない」

女「なのに……」

男「しかし、この日、この死刑囚を死刑執行の前に殺すことに意味があったんだ」

女「うええ、ほんとに『なぜ!?』って感じ」



 162 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:52:44 ID:0buvTjBM [24/28]

女「その毒殺は、女にとって意味のあるものだったのよね?」

男「ああ」

女「じゃあ、他の誰かにとっても、意味のあることだった?」

男「ああ、その通りだ」

女「女は、その誰かのことを思って、毒殺を決行した」

男「ああ」

男「しかし悲しいことに、その『誰か』はその意味を知らなかった」

女「はい?」

男「そして女も、そのことに気づいていた」



 163 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:54:06 ID:0buvTjBM [25/28]

女「誰かのためを思ってやったのに、それが伝わらなかったことをわかっていたってこと?」

女「あああ、言ってて意味わかんなくなってきた」

男「女にとって、過去の罪滅ぼしでもあったんだろうな」

女「むう」

男「他に質問は?」

女「じゃあ、『女』とその『誰か』は面識があったの?」

男「まあ、清掃員だからな」

男「顔は毎日合わせていただろう」



 164 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:55:44 ID:0buvTjBM [26/28]

女「その『誰か』は『女』にとって特別な存在?」

男「ああ」

女「じゃあ、『誰か』にとって『女』は……」

男「特別な存在ではなかった」

女「ううむ、そんな片思いのような……」

女「あ、その清掃員の女の人は何歳くらいなの?」

男「60と少しかな」

女「ありゃ、当てが外れたな」

男「恋心ではない、な」



 165 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/08(火) 23:57:42 ID:0buvTjBM [27/28]

女「その『誰か』というのは、死刑執行の刑務官のうちの一人ということであってる?」

男「ああ、その通りだ」

女「なんとなく、薄ぼんやりとだけど輪郭は見えたの」

女「だけどな、動機として弱いのよね」

男「この死刑が行われる予定だった日、刑務官の男にとっては特別な日だったんだ」

女「……うん」

男「ただ、その事実を男は知らず、清掃員の女だけが知っていた」

女「……そっか」

女「……そういうことか」



 167 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/09(水) 00:46:53 ID:.b00MFdU

乙。何となくわかったが……問題は、そういう人が刑務官になれるのか?だな。
調べて解答しよう



 168 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/09(水) 10:20:11 ID:cv78IkVw

刑務官の男と清掃員の女の関係が
2時間サスペンス物ならありがちなんだけどな

「ま、まさかあんたが俺の……」とか崖の上で言いそう

刑務官が結婚してたらと思うんだけどどうだろう

解答編楽しみにしてます



 169 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/09(水) 10:34:29 ID:KM4E2Y2g

予想はしたが確信がもてる内容がSSの中に出てこなかったから俺の予想は外れてるのだろう



 170 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/09(水) 15:57:24 ID:NakcHeVY

私は刑務官。名前はまだない。
いや、ないというわけではないが、本当の所はとんと知らぬ。
一昔前には私のような、所謂「コインロッカーベイビー」とやらがそれなりにいたらしい。
おかげで私達のような者共は、本当の名前も、本当の歳もわからぬことばかりだ。
それでも、地獄に仏はいるもので、恵まれた両親に拾われたおかげで、こうしていっぱしの教養をつけられ、刑務官など勤めている。
今日は、私にとって初の、おぞましい仕事の日だった。そのはずだった。
だが、その相手は、3分の1の神の気まぐれから逃れ、誰かの気まぐれからか命を落とした。

これは後日知ったことだが、あの日、死刑執行予定日は、私の本当の生まれ落ちた日だったのだそうだ。
何故そんなことがわかったか、だって?
決まっている。何故ならば、気まぐれに命を奪った何者かは、気まぐれに命を宿し、気まぐれに捨てた、私の--だったのだから。

って辺りが王道予想かな?



 172 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:18:46 ID:fk3Gtmhg [2/12]

【解答編:今日は特別な日】



女「刑務官の精神的負担を減らすため、3人同時にボタンを押すって話があったでしょう?」

男「ああ」

女「だけど、3人いても、やっぱり精神的には辛いものがあるわよね?」

男「そうだな」

男「実際に話を聞いてみても、誠実で繊細な印象を受けたよ」

男「『極悪人を地獄へ落としてやるつもりでボタンを押してます』なんてやつは一人もいなかった」

女「だから、その負担を軽くしてやろうと女は思ったと思うの」



 173 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:23:08 ID:fk3Gtmhg [3/12]

女「だから、その刑務官の恋人かなあと思ったわけ」

女「でも60代でしょう? 刑務官が何歳くらいなのかはわからないけど、母親の年齢よねえ」

男「ああ」

女「でも母親にしては、『特別な存在ではない』ってのが引っ掛かってね」

男「……」

女「つまり、こういうことよね」

女「清掃員の女は、刑務官の母親だけれど、刑務官はその事実を知らない」

男「ご名答」



 174 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:36:23 ID:fk3Gtmhg [4/12]

男「刑務官の一人、仮にAとしておくが、Aは孤児だったんだ」

男「児童養護施設に置き去りにされた赤ん坊だった」

女「……」

男「そのまま施設で育ち、刑務官となった」

男「本当の母親のことは知らず、母親も接触しようとしなかった」

女「同じところで働いていたのは偶然だったの?」

男「いや、女の方が、追いかけてきたようだな」

女「捨てた息子の姿を見守るために?」

男「罪悪感でいっぱいだったろうが、捨てたあともずっと気にはしていたらしい」

男「刑務所で働くようになったことを知った母親は、清掃員として近づいたんだ」



 175 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:40:49 ID:fk3Gtmhg [5/12]

女「だから『誰か』は『女』にとって特別な存在で、『誰か』にとって『女』は特別ではないって言ったのね」

男「刑務官は最後までわかっていなかったよ」

男「女が母親として自分の為に殺人を犯したことを」

女「でもね、いくら息子の精神的負担を減らすためとはいえ、ちょっとリスクが大きすぎると思ったのよ」

男「そうだな」

女「刑務官は職務としてやっているのに、自分が肩代わりしたら、犯罪になるんだもんね」

男「そう、本来なら天秤にかけられるべき問題じゃないんだ」



 176 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:46:47 ID:fk3Gtmhg [6/12]

男「しかし、この日は刑務官にとって特別な日だった」

女「でも、この日が特別な日ってこと、刑務官は知らなかったのよね」

男「そうだ」

男「男の誕生日は、児童養護施設に拾われた日が登録されていた」

男「男自身、その日を誕生日だと思っていたんだ」

女「でも本当は違ったのね」

女「清掃員の女だけが、男の本当の誕生日を知っていた」

男「そう、そしてそれが、死刑執行の日だったんだ」



 177 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:51:46 ID:fk3Gtmhg [7/12]

女「自分が不幸にさせてしまった息子が、祝われるべき本当の誕生日に死刑を行おうとしている」

女「それはとてつもない不幸だと、女は嘆いたのね」

男「だからせめてもの罪滅ぼしに、生まれた日くらいは、穏やかに過ごしてほしい」

男「そう思って犯行を行ったんだそうだ」

女「刑務官の男にとっては、寝耳に水の事件だったでしょうね」

男「女の自己満足のエゴが、少し顔を出してしまったとも思えるな」

女「なにもしなければ平和だったかも?」

男「そう、罪滅ぼしというのはたいてい自己満足に行われるものだろ?」

女「まあ、そうかも」



 178 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:54:31 ID:fk3Gtmhg [8/12]

女「刑務官の父親は出てこないの?」

男「父親はいないんだ、の一点張りだ」

男「当然刑務官自身も父親についてはなにも知らない」

女「いないって……そんなわけないでしょうに」

男「これは想像だがな。父親について誰にも絶対に知られたくないんだと思う」

女「どうして?」

男「これは、本当に、おれの勝手な想像なんだが……」

女「言ってください」

男「この日死んだ死刑囚の男の罪状の一つにな、婦女暴行があるんだ」

女「……っ」



 179 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 21:58:16 ID:fk3Gtmhg [9/12]

男「女は自分の息子に、『父親殺し』をさせたくないと考えたんじゃないか、と思ってな」

女「……」

女「なぜ、世界はこんなにも不平等なんでしょうね」

男「一度均等にならしてくれる神が現れてくれないだろうか」

女「あら、所長は神を信じるんですか?」

男「いいや、信じてないね」

女「どうして?」

男「神がいれば、人間が人間を殺すような世の中を良しとはしないと思うからだ」

女「なるほど」



 180 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 22:02:15 ID:fk3Gtmhg [10/12]

女「私の考えとは違いますね」

男「どういうことだ?」

女「世界は不平等、だから起こる悲劇もあるけど、すべてが均等でもつまらないと思います」

男「そうか?」

女「みな同じ考え、同じ服、同じ程度の裕福さに、同じ程度の知能」

男「ううむ」

女「人はそれぞれ違うから、面白いんですよ」

男「まあ、それも一理あるかな」



 181 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/10(木) 22:05:38 ID:fk3Gtmhg [11/12]

女「自分とは違う人だから、好きになるんですよ」

男「ほう、お前も人並みに恋するんだな」

女「なに言ってるんですか、相手は所長ですよ?」

男「は? おれ?」

女「まったく鈍いんだから」

男「……え?」

女「ハードボイルドな探偵を目指すなら、こんなことで狼狽えてちゃだめですよ」

男「……え? なんで? なんで?」

女「ま、そんなところも好きなんですけど、ね」

男「……なんで?」



 183 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/10(木) 22:12:31 ID:h1ojtJV2

おつ

ベタだが、考えさせられる問題だったな

女ちゃんのターンに期待



 184 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/10(木) 22:17:47 ID:O1VIWRmk


半分正解といった所かな……
次は完全正解を目指す!



 185 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/10(木) 22:44:53 ID:V6qglnqI

「なぜ」を問う問題、面白かった
ラストもそれで締めてるのはわざとかな



 186 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/11(金) 00:25:36 ID:yW/MEyz2

法月作品かな?
ホワイダニットに重点を置く作品って少ないけど面白いんだよな



 187 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/11(金) 06:17:51 ID:vPPvirRQ

あれ、兄弟じゃなかった?
近所のお兄ちゃん的な存在なのか?



 190 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 21:12:29 ID:OcIswttY [2/15]

【出題編:砂糖パーティー】



カランカラン

女「こんちわー」

男「おう」

女「今日はなにか事件がありましたか?」

男「特にねえなあ」

女「うふふ、じゃあ、私が今日遭遇した事件の話、してもいいですか?」

男「お、おう」

女「たまにはそういうのも、いいでしょ?」

男「そうだな、目新しくて」



 191 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 21:17:32 ID:OcIswttY [3/15]

女「今日、学校帰りに友だちと喫茶店に寄ったんです」

女「ちょっと落ち着いた感じの、普通の喫茶店」

男「ほお」

女「そこで友だちとお喋りしてたんですけど、奥の席の客のことが気になったんです」

男「どんな客だ?」

女「女の子4人で、なんかみんな、うつむいてるの」

男「へえ、誰かが失恋でもしたのかね」

女「でもね、あんまり誰も口を開かないの」

男「でもそれくらい、たいして珍しくもないだろ?」



 192 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 21:23:12 ID:OcIswttY [4/15]

女「でもね、誰も口を開かないけど、時々動きがあるの」

女「4人ともが、すっと砂糖壺から砂糖をコーヒーに入れるの」

女「それを、何回も何回も繰り返しているだけの客」

男「……甘党なのか?」

女「ね、変な客でしょう?」

男「ううん、なんだろう、なんか気になる客ではあるな」

女「でしょでしょ!」



 193 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 21:28:28 ID:OcIswttY [5/15]

男「で、その謎は自分で解けたのか?」

女「自分なりの解答は得ましたよ?」

男「それはちゃんと納得できるような解答だろうな?」

女「ええ、それは任せてください」

男「ふん、じゃあちょっと考えてみようか」

女「どんとこい!」

男「他に客は?」

女「いましたよ? でも今回、他の客は関係ありませんね」

男「ふむ」



 194 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 21:32:47 ID:OcIswttY [6/15]

男「4人ともがコーヒーを注文していたのか?」

女「あ、えっと、私たちより先に来ていたので具体的な内容は不明です」

女「でも4人とも、コーヒーか紅茶を頼んでいたと思いますよ」

男「で、砂糖をたびたび入れる、と」

女「ええ」

男「飲んでいたのか?」

女「たまに、ちょっとずつ飲んでいたようですね」

男「スプーンは?」

女「はい?」

男「つまり、混ぜていたか?」

女「いえ、混ぜていません」



 195 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 21:41:47 ID:OcIswttY [7/15]

男「ほう……」

女「いい質問でしたね」

女「砂糖をたびたびカップに入れるくせに、スプーンで混ぜていない」

男「つまり、甘党ではない」

男「砂糖を摂取することが目的ではない、と」

女「ええ、そうです」

男「それ以外に目的がある、と」

女「ええ」



 196 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 21:47:14 ID:OcIswttY [8/15]

男「その4人は高校生?」

女「私と近い学年だと思います」

男「制服だったのか?」

女「あら所長、女子高生の制服に興味があるんですか?」

男「おいおい、茶化すなよ」

女「えっと、私服でした」

男「4人とも?」

女「4人とも」



 197 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/13(日) 22:05:54 ID:OcIswttY [9/15]

男「学校帰りではない?」

女「ええ、おそらく」

女「一旦家に帰ったのか、それとも私服の学校なのかもしれませんが」

男「ああ、私服の学校なんていうのもあるのか」

女「しかし制服よりは、私服であるほうがこの場合都合がいいと思いました」

男「都合? それは誰にとっての?」

女「この4人にとっての都合です」

男「ふうむ」



 198 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/13(日) 22:11:51 ID:OcIswttY [10/15]

男「砂糖壺はどのテーブルにも設置されているのか?」

男「それとも注文に合わせて持ってくるタイプか?」

女「前者です」

女「どのテーブルにも砂糖壺が常設されていました」

男「中身は粉砂糖か? 角砂糖か?」

女「粉です」

女「これ重要です」

男「む?」

女「角砂糖では、きっと今回のようなことは起こらなかったでしょうね」

男「へえ」



 199 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/13(日) 22:17:51 ID:OcIswttY [11/15]

男「その4人組の客は、砂糖壺から砂糖を出してはカップに入れ、混ぜずに飲んでいる」

女「ええ」

男「定期的にってことは、結構な量の砂糖が減っているはずだ」

女「ええ、おそらく」

男「しかし、砂糖壺から砂糖を『減らす』ことが目的ではないんだろうな?」

女「ええ、それは違います」

男「その砂糖というのは、いつも壺にたくさん入っているのか?」

女「ええ、マスターはずいぶん几帳面な人のようで、いつ行っても砂糖壺は満タンになっています」

男「なるほどな……」



 200 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/13(日) 22:23:22 ID:OcIswttY [12/15]

女「なにかピンときました?」

男「ん、おぼろげながら、だがな」

男「ちなみにその喫茶店は、バイトは雇っているのか?」

女「バイトですか? ええ、一人二人、雇っているようですよ」

男「マスターは割と厳しい感じの人?」

女「ええ、今日も新人っぽいバイトの子を叱り飛ばしていましたよ」



 201 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/13(日) 22:30:28 ID:OcIswttY [13/15]

男「その4人の客のうち、様子がおかしい子はいなかったか」

男「例えば挙動不審だとか、ずっと無理に顔を伏せている、とか」

男「あるいは無理な化粧をしていたり、フードをかぶっていたり、ウイッグをかぶっているとか」

女「……ええ、そういう子が、一人いました」

男「となると、発案者はその子だろうな」

男「他の3人は、それに付き合わされた感じだ」

女「ええ、そうだと思います」



 202 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/13(日) 22:38:34 ID:OcIswttY [14/15]

男「その砂糖パーティーは、まあ一種の嫌がらせだろうな」

女「……ええ、正解です」

男「マスターに忠告は?」

女「……しておきました」

男「まあ妥当に考えて、塩だとは思うんだが、万が一『他の粉』だとちょっと危険だしな」

女「……すごいです、ほとんどご自分で結論を出してしまって」

男「ま、本業だしな」



 204 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/13(日) 22:51:51 ID:jFsH7mtA


最初は「表面張力というものを知っておるかね、バービー君」的なやつかと思ったけど
変な格好の子の復讐的なものなのかな?

解答編楽しみにしてます



 205 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/14(月) 09:13:47 ID:J/JJ.zms

ニヤニヤ
>>1とは趣味が合いそうだ



 206 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/14(月) 11:09:17 ID:lAhksdEU

にゃる……しかし物によっては悪質だな。
つか、もしバイト君が店内備品補充まかされてるならバイト首にならないか?www



 207 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/14(月) 18:54:49 ID:NUASyuis

むしろ最悪クビにするのが目的(=嫌がらせか復讐)だと思ってた
違うのか



 208 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/14(月) 20:11:49 ID:ydMU2/To

おまえら凄いな
自分には何がなんだかわからん
解答待ちだ



 209 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/14(月) 21:33:45 ID:PPS5.LFU [1/9]

【解答編:砂糖パーティー】



女「どこでわかりました?」

男「まあ、一番怪しいのはカップを混ぜてないってことだ」

男「砂糖を摂取するんではなく砂糖壺から減らすということが必要だったんだ」

男「砂糖壺はいつもいっぱい入っていたというから、仕方がなかったんだろうな」

女「ええ」

男「その客のうちの一人は、おそらくその喫茶店を恨んでいる」

男「それは言い過ぎとしても、まあ少なくとも嫌がらせをしたいと考える程度には嫌っている」

女「はい」

男「となれば、その子の正体は、『以前バイトをしていてクビになった子』だろうな」



 210 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/14(月) 21:42:42 ID:PPS5.LFU [2/9]

女「はい、私もそう考えました」

男「実家が近くで喫茶店をやっているとかいう線もあったが、まあマスターが厳しい感じならこちらが有力だろう」

女「ええ」

男「だから不必要に会話をすることもなく、変装も必要だったわけだ」

男「で、喫茶店に嫌がらせをするにしても、砂糖をたくさん減らすくらいでは、たいしてダメージがない」

女「ええ」

男「だから、砂糖を減らして、代わりの物を入れていたんだろう」

男「例えば、塩とか」

女「……はい」



 211 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/14(月) 21:48:55 ID:PPS5.LFU [3/9]

男「次の客が塩をコーヒーに入れてトラブルになることを狙ったんだろうな」

男「その喫茶店の評判を落としてやるつもりで」

女「ええ」

男「これが怪しい黒ずくめの男たちなら、麻薬取引を考えたんだが」

男「女子高生に怪しい粉を手に入れる術はあまりなさそうだしな」

女「わかりませんよ? イマドキ」

女「女子高生でも、可能性はゼロではないでしょう」

男「まあな」



 212 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/14(月) 21:55:02 ID:PPS5.LFU [4/9]

男「厳しく当たられてバイトを辞めたその少女は、せめてもの腹いせに、砂糖パーティーを開いた、と」

女「巻き込まれた3人の友人も気の毒ですね」

男「最近の若い者は根性が足りねえな」

女「警察で上下関係のしがらみから逃げ出した所長が言いますかね」

男「おま、そんな言い方するなよ」

女「でも確かに、やり方が陰湿ですよね」

男「自分さえよければいい、スカッとすればいい、という考え方なんだろうな」

女「残念ですよね」



 213 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/14(月) 22:01:08 ID:PPS5.LFU [5/9]

男「お前がそういうタイプじゃなくてよかったと思うよ」

女「見くびってもらっちゃ困ります」

男「でもイマドキの若者であることは確かだろう?」

女「そんなに歳は離れてないじゃないですか」

男「そうかな」

女「十分恋愛対象圏内でしょう?」

男「……返答に困るようなことを言うんじゃないよ」

女「うふふ」



 214 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/14(月) 22:13:31 ID:PPS5.LFU [6/9]

女「さて、コーヒーでも淹れましょうか」

男「あ、ああ、頼む」

女「お砂糖は?」

男「なしで」

女「ミルクも?」

男「それはありで」

女「ハードボイルドならブラックじゃないんですか?」

男「おいおい」



 215 以下、名無しが深夜にお送りします  2014/07/14(月) 22:20:15 ID:PPS5.LFU [7/9]

男「ハードボイルドが格好いいと思うことは確かだが、おれにそれが似合うとは思ってないぞ」

女「はあ」

男「そもそもハードボイルドの語源は『かたゆで卵』だが、おれは半熟が好きだし」

女「……は、はあ」

男「昼行燈だがいざとなると鋭い、みたいなタイプがいいな、おれとしては」

女「なるほど」コト

男「ありがとう」グビッ

男「あっち!」ビシャア

女「うーむ、格好悪い……」

女「確かにハードボイルドには程遠いですね」



 217 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/14(月) 22:25:52 ID:458rtX9w

乙でした
今回も半分正解だった……
次こそは!



 218 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/14(月) 22:29:14 ID:Smtyvsoc


いいスレだ
男はハーフボイルドなのか


>>218
それいいですね
ハーフボイルド探偵





 220 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014/07/15(火) 23:59:12 ID:aIvjue6s


こういうタイプの続きが気になるスレは初めてだ
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No title

3つ目のお話って、創元推理文庫の「空飛ぶ馬」の砂糖合戦ですよね?

そのことについて何も触れずに自らのSSとして出すのはどうなのでしょうか。

普段楽しみにしていた分がっかりです。

Re: No title

失礼しました。

>こんな感じで
>ウミガメのスープスレ、ウミガメサイト、友人の出してくれた問題、推理小説などから出していきます
>書き溜めを進めつつ、また明日に投下します

この部分をこのブログにも載せておくことにします。
元ネタを載せるとひどいネタバレになりそうだったので、自重していました。

No title

対応が早くて嬉しいです。

これからも応援しますので頑張って下さいね!
プロフィール

モルフェ

Author:モルフェ
HAM ◆HAM/FeZ/c2
SS保管庫です。
ここでのSSとは、主に既存のキャラを使わないショートストーリー、ショートショートのことです。
タイトルに歌詞を引用することが多いですが、歌の世界をそのままストーリーにしているという訳ではありません。

個人的なお話はこちら
tv_pops★yahoo.co.jp

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