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少女「10年後も想い変わらず貴方を好きでいたなら」

10-003.png
参考曲:POP/ミドリ



 1 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 18:48:45 ID:irfbl9/k

少女「私さ、明日、引っ越すんだ」

少女「え、知ってたの、どうして」

少女「そっか、うん、そうなんだ」

少女「うん、まあ、しょうがないよ、お父さんのお仕事の都合なんだから」

少女「寂しいよ、そりゃあ」

少女「でもさ……うん、しょうがないよ」

少女「どこって……大阪」

少女「遠いよ、うん」


 2 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2012/06/06(水) 18:51:28 ID:eqCNNL..

Secret Base

>>2 違うwww 




 3 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 18:54:15 ID:irfbl9/k

少女「でもさ、10年経ったらさ、また帰ってくるから」

少女「絶対、絶対帰ってくるから」

少女「うん、だから、その時までさ」

少女「10年後も想い変わらず貴方を好きでいたなら」

少女「私のこと、見てくれるかな」



あいつがそう僕に告げたのは、小学校の卒業式の前日だった。
次の日、あいつの言った通り、あいつは僕の知らない街へ行ってしまった。
そして、僕らは10歳年をとった。




 4 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 19:04:47 ID:irfbl9/k

カランカラン

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか」

男「あ、えっと、待ち合わせで」

女「……」フリフリ

男「あ、わかりました」

「どうぞごゆっくり」

女「やほ、久しぶり!!」

男「……びっくりしたよ、いきなり連絡くれるんだもんな」

女「へへ、10年経ったら帰ってくるって、言ったじゃん」

男「ああ、もう10年経ったんだな」



 5 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 19:11:29 ID:irfbl9/k

女「早いよねえ」

男「ああ」

女「……」

男「……」

女「なんか、感想ないの」

男「感想って」

女「10年振りだぞ」

男「あ、ああ、ずいぶん綺麗になったな」

女「おっと、素直に褒められるとは思わなかった」

男「口は回る様になっただろ」

女「口下手だったのにねえ」



 6 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 19:18:26 ID:irfbl9/k

男「髪も伸びたな」

女「うん、今はずっと伸ばしてるの」

男「小学校の頃はショートカットのイメージが強かったけど」

女「……」

女「似合ってない??」

男「いや、すごく似合ってる」

女「っへへ」

男「おれ、長い方が好きだし」

女「でしょでしょ」



 7 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 19:35:20 ID:irfbl9/k

男「ちょっとアクセント、違うんじゃね」

女「あー、ちょっと関西弁混じってるかも」

男「だろうなあ」

女「微妙に、ね」

男「がっつり関西弁だったら面白かったのに」

女「それ、喋りにくくない??」

男「確かに」

女「やっぱこっちの言葉の方が、落ち着く」

男「そっか」



 8 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 19:44:43 ID:irfbl9/k

男「ていうか、どうやっておれの携帯……」

女「あ、それね、最初は小学校に連絡してみたんだよ」

男「おいおい、セキュリティ甘いな小学校」

男「個人情報漏らすなよ」

女「あーでもダメダメ、教えてくんなかったの」

男「あっそ、そりゃあ安心した」

女「でさ、どうしよっかなって思ったときにさ、名前聞かれてさ、何年卒の~って名乗ったの」

男「ああ」

女「そしたらさ、電話の相手がさ、びっくりしててさ」

女「あんときの同じクラスのミサキだったのよ」

男「ああ、そっかそっか、ミサキあの小学校の先生になったんだっけ」



 9 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 19:57:00 ID:irfbl9/k

女「そんで思い出話とかさあ、盛り上がってね」

男「でも、ミサキにもおれの携帯教えてないはず……」

女「最後まで聞いてよ」

女「でさ、ミサキの情報網ハンパなかったのよ」

女「あの子友だち多かったからねえ」

女「色んな人にメールしてみて、アドレス知ってる人を捕まえたわけ」

男「はっは、まあ、あいつはいつもクラスの中心にいたからな」

男「情景が目に浮かぶよ」

女「でしょ、私もなんか懐かしかったもん」



 10 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 20:05:09 ID:irfbl9/k

男「他のみんなには会ったのか??」

女「ううん、まだこれから」

女「だってこっちに帰って来たの、一昨日だもん」

男「そっか」

女「前と同じマンションだよ」

男「あそこ、社宅だったよな」

女「そうそう」

女「ま、当時の私は社宅って言われても意味わかってなかったけど」

男「ははは」



 11 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 20:14:13 ID:irfbl9/k

女「ねえ、学校辞めて、映画作ってるんだって??」

男「ああ、サークル活動なんかじゃない、本物の映画作りだ」

男「といっても、まだまだ素人レベルからちょっと抜け出したくらいだけどな」

女「ずっと映画作りたいんだって、言ってたもんねえ」

男「ああ」

女「夢、叶ったんだ」

男「ん、まあ、そうかな」

女「すごいなあ」

女「羨ましいなあ」



 12 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 20:20:06 ID:irfbl9/k

男「お前は、今はなにやってるんだ」

女「花嫁修業!!」

男「……ん??」

女「……つまり、就職浪人」

男「おいおいおい、大丈夫かよ」

女「大阪にいる間もね、こっちの会社受けたりしてたんだけど……」

女「全滅!!」

男「あー、そっか」

女「だから、まあ、バイトとかでいいからとりあえず探してるの」

男「ふうん、大変だねえ」



 13 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 20:27:31 ID:irfbl9/k

女「他人事ねえ」

男「だってさ、男は死活問題だけど、女は永久就職があるし」

女「あー男女差別だ」

男「はっは、苦しいのは男の方だっつーの」

女「でも結婚してもさ、専業主婦でやってけるほど、甘くないでしょ」

男「まあ、そうだな」

男「お前、彼氏はいるのか」

女「いたけどね、別れてきた」

男「ん」

女「大阪に置いてきたの」



 15 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 20:39:38 ID:irfbl9/k

男「どうして」

女「どうしてって……」

女「え、あのときの約束、覚えてないの??」

男「約束、約束……??」

女「うっそ、信じらんない!!」

男「あーはいはい、あれね、卒業式の前の日のね、思い出した思い出した!!」

女「うっわー乙女の純情弄ばれたー」

男「思い出した思い出した思い出した!!」

女「酷いわ本当、この男最低だわー」

男「いや、ちょっと、あの、御免」

女「嘘よ」

男「へ」



 16 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 20:57:32 ID:irfbl9/k

女「本気にしないでよ」

男「お、おう」

女「本当はね、ただ単に合わなくなって別れただけよ」

女「遠距離できるほど、お互い強くもなかったし」

男「……そっか」

女「焦りすぎー」

男「いや、だって、本気で、かと思って」

女「あーのーね、あんなの10年も前のことじゃん」

女「むしろ青春のいい思い出じゃん」

男「はは」



 17 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 21:07:46 ID:irfbl9/k

女「あんときのクラスのみんなはどうしてるかな、知ってる??」

男「んーと、そうだなあ」

男「あ、カイト、覚えてるか」

女「はいはい、野球やってた」

男「あいつな、甲子園出たぞ」

女「うっそ!! うっそ!! マジで!!」

男「2回戦までだったけどな、テレビで応援したよ」

女「うそー知らんかった……」

男「今は大学で野球やって、社会人野球に進んでるはず」

女「へえ」

男「やっぱ今でも、プロ目指してるみたいだよ」

女「そっかあ、プロになれるといいなあ」



 18 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/06(水) 21:17:16 ID:irfbl9/k

男「それから……あ、ヨウコから結婚しましたって報告があったな」

女「ヨウコ!? 懐かしい!!」

男「去年だったな」

女「そっかあ、学生結婚??」

男「いや、どうなんだろ」

男「相手のことはよく知らない」

女「早いねえ」

男「まあ、女の方が結婚は早いからなあ」

女「同い年の可能性もあるよ??」

男「あ、そうか、そういやそうだな……」



 22 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 20:08:17 ID:afXAzBGI

女「21歳で結婚かあ……」

男「どうやって生活すんだろな、ってちょっと思った」

女「バイトじゃ生きてけないよね」

男「生きてけないってことはないだろうけど……」

女「でも、そんなに焦らなくても……」

男「いや、別に焦ってたかどうかは知らないけど」

女「デキ婚かな」

男「さあ、どうかな」

女「ありうるよね」

男「大いにな」



 26 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 20:38:27 ID:afXAzBGI

男「お前は結婚願望とか、ないのか」

女「まーだまだ」

女「ていうか料理、できないし」

男「はっは」

女「なによ」

男「いや、6年の時の調理実習でも、そうだったなあと思ってな」

女「あ、覚えてるの!?」

男「おう、覚えてる覚えてる」

女「いや!! 忘れて!!」

男「確かオムライス作りで……」

女「ぎゃー!!」

男「酢が……」

女「ぎゃー!!」



 27 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 20:47:47 ID:afXAzBGI

男「掃除は」

女「苦手」

男「洗濯は」

女「たたむのが、苦手」

男「……」

女「こ、これから覚えるし!!」

男「どうやって、だよ」

女「お、お母さんに教えてもらいながら……」

男「……」

女「が、頑張るもん!!」

男「はいはい、頑張れ」



 28 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 20:57:27 ID:afXAzBGI

男「彼氏と別れない方が、よかったんじゃないの」

女「どうして」

男「だって、その彼氏、家事得意なんだろ」

女「……」

女「なんでわかるの??」

男「なんとなく」

女「ふうん」

男「一人暮らししてる大学生ってところか」

女「なんでわかるの!?」

男「なんとなく」



 29 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:08:22 ID:afXAzBGI

男「お前は甘えるタイプだったからなあ」

女「そ、そんなの、10年も前のことじゃん」

男「10年も前からそうなんだから、そんな簡単には変わらないんだよ」

女「う」

男「今も、甘えに来たんじゃないの、おれに」

女「……」

男「いや、御免、責めてるわけじゃないからな」

女「……」

男「久しぶりに会えて、本当に嬉しいんだから」

男「それは本音」



 30 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:19:01 ID:afXAzBGI

女「甘えてたのかなあ」

男「……」

女「甘えてるのかなあ」

男「ま、そういう要領のいいところも、お前のよさだよ」

女「そっか」

男「切り替えの早いとこも、な」

女「あはは」



 31 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:28:39 ID:afXAzBGI

女「そっちは??」

男「ん」

女「今、どうしてるの??」

男「あ、えーと、その」

女「ん??」

男「怒らないで、聞いてくれるか」

女「??」

男「去年、結婚したんだ

女「……!!」

男「御免」

女「謝んないでよ」



 32 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:33:21 ID:RgR/uU1c

まさかの



 33 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:35:28 ID:Y0TMFs5w

フラグバッキバキですやん



 34 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:38:24 ID:afXAzBGI

女「おめでとう!!」

男「お、おう」

女「やーそっかあ、結婚かあ」

男「はは」

女「10年経ってんだもんねえ、そっかあ」

男「恥ずかしくて、なあ」

男「みんなにはあんまり言ってないんだが」

女「なんでよ、言ったらいいじゃん、みんな喜んでくれるって」

男「そうかなあ」

女「そうだよう」



 35 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:46:36 ID:afXAzBGI

女「え、まさか、ヨウコと!?」

男「違う違う違う!! 偶然!!」

女「えーヨウコも去年なんでしょ??」

男「おれの、その、結婚相手は……」

女「誰なの??」

男「その、映画関係で知り合った人」

女「へえ」

男「女優さん」

女「え、すごい!! 美人なんじゃないの??」

男「う、うん、まあ」



 36 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 21:56:11 ID:afXAzBGI

女「え、いくつの人??」

男「28」

女「はー大人の女性だあ」

男「はは」

女「でも、歳の差感じない??」

男「うん、まあ、それはあるかもね」

女「えーっと、6歳差かあ」

男「一緒に小学校通わないレベル」

女「あ、ほんとだ」

男「成人式んときに中学校の制服着てるレベル」

女「うおー」



 37 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 22:04:05 ID:afXAzBGI

男「おれが食ってた駄菓子とか、知らないときもあるし」

女「駄菓子ねえ」

男「逆に向こうが、俺の知らない駄菓子食ってたりして」

女「あはは」

男「アニメもさあ、微妙に時期がずれてたりして」

女「でも男女なんだから好みとかも違うでしょ」

男「まあ、そうだけどさ、よく見てたバラエティとかもさあ」

女「そりゃあ流行りはすぐ入れ替わるからねえ」



 38 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 22:25:07 ID:afXAzBGI

女「子どもは??」

男「んん……それはまだ」

女「ほしい??」

男「そうだな、ほしいな」

女「何人??」

男「男と女、一人ずつ、かな」

女「計画的ですなあ」

男「ははは」

女「女の子が生まれたら、私の名前、つけてよね」

男「なんでだよ、恥ずかしいよ」



 39 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 22:34:49 ID:afXAzBGI

女「子どもかあ」

男「未来の話だよ」

女「でも、私も、子どもほしいなって思うときあるんだよ」

男「はっは」

男「10年前じゃあ考えられない会話だな」

女「ほんと」

男「お前の子どもは美人だろうなあ」

女「なにそれ、お世辞??」

男「いいや」



 40 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 22:48:11 ID:afXAzBGI

女「恥ずかしいこと、言わないでよう」

男「クラスで一番、可愛かったからな、お前は」

女「ちょちょちょ、マジで!?」

男「マジで」

女「え、なんで言ってくれなかったの」

男「言えるわけねーだろ、そんなこと」

女「えー」

男「今言ったんだから、いいだろ」

女「なに照れてんの」

男「うるさい」



 41 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 22:56:58 ID:afXAzBGI

女「そっかそっかあ、そんな風に思ってくれてたんだ」

男「……」

女「じゃあ、なんで私を置いて結婚したの??」

男「……ぐっ」

女「あはは、冗談」

男「……」

女「私もねえ、男の子と女の子、両方ほしいなあ」

女「それで、男の子にはサッカー、女の子にはピアノを習わせるの」

男「はは、ありがち」

女「いいでしょ」



 42 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 23:08:16 ID:afXAzBGI

男「おれは……一緒にキャッチボールがしたいな」

女「あ、男の人っぽい」

男「だろ」

女「男の人、みんなそう言うよね」

男「みんなの夢だよ」

女「でもさ、相手が女優さんじゃ、難しくない??」

男「そうだな、今撮ってる映画がひと段落して、引退を考えられたら、かな」

女「奥さん、引退するの??」

男「まあ、おれが養っていける収入を得ることが大事なんだけど」

女「ま、そりゃそうね」



 43 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 23:24:37 ID:afXAzBGI

男「今んとこ、向こうの方が多く稼いでるから」

女「うわ、そりゃあ長く働いてもらわないと」

男「俺も頑張ってんだけどなあ」

女「ねえ、どんな映画、撮ってるの??」

男「聞きたい??」

女「聞きたい。それに観たい」

男「今のやつはね、SFっつーか、なんつーか」

女「SF!? 特殊効果ズドーン!?」

男「いや、そんな派手なやつじゃなくて」

女「首がブシュー!?」

男「それじゃスプラッタだ」



 44 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/07(木) 23:32:17 ID:afXAzBGI

男「演じるのは人だし、特に派手なメイキャップもしないんだけど、死神とか出てくる感じ」

女「ああ、はいはい」

男「低予算で、演技力と演出勝負!! みたいな」

男「お金ないからね、仕方ない」

女「そっかあ、でも面白そう」

男「できたら観てくれる??」

女「絶対観る!!」



 47 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 19:49:21 ID:S6IRKa4E [1/2]



男「さ、そろそろ出るか」

女「うん」

男「今日、このあとは??」

女「別に予定はないよ」

男「そっか」

女「なに、飲みにでも連れていってくれるの??」

男「んー、それもありだけど……」

女「奥さんが怒るか」

男「怒るってことはないけど、まあ、よくはないかなあ」

女「いいよ、別に」

男「また今度、予定立ててからなら……」

女「うん」



 48 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 19:57:58 ID:S6IRKa4E [2/3]

女「御馳走様」

男「ケーキセットくらい、奢るって」

女「ありがとう」

男「うん」

男「なにで来た??」

女「歩き」

男「そっか、おれもだ」

男「送ってく」

女「うん、ありがと」



 49 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 20:10:13 ID:S6IRKa4E [3/4]



男「この辺歩いてると、誰かに会うかもしれねえなあ」

女「誰かって、卒業生??」

男「うん、卒業生とか、他の先生とか」

女「懐かしい??」

男「ああ、おれもずっと会ってないからな」

女「気付いてないだけで、すれ違ったりしてるかもよ」

男「ありうる」

女「さっきの喫茶店にバイトでいるかもよ」

男「……ありうる」



 50 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 20:19:48 ID:S6IRKa4E [4/5]

男「この時間になると、静かだな」

女「子どももいないね」

男「昔はさ、暗くなって怒られるまで遊んでても平気だったろうけどさ、今は……」

女「不審者とか、多いもんね」

男「そうそう、下手に外で一人にさせられないんだろうな」

女「怖いね」

男「今は、おれがいるから大丈夫」

女「それは心配してません」



 51 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 20:30:03 ID:S6IRKa4E [5/5]

男「バッカ、若い女性も同じくらい危ないんだぞ」

女「若い女性って」クスクス

女「それにここ、住宅街だよ」

男「それでも危ないの」

女「そうかなあ」

男「そうだよ、お前はもっと危機感持つべき」

女「うーん」

男「なんだよ」

女「なんかねえ、小学校時代に戻った気分なの」

男「はあ」

女「ああ、こんなんだったなーって思いだしちゃって……」

男「戻ってこい、22歳の現実に戻ってこい」



 52 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 20:42:06 ID:S6IRKa4E [6/7]

女「小学生気分だから、危機感がないのかな」

男「……」

男「小学生気分に戻ったのは、おれといるから??」

女「うん、多分そう」

男「……」

女「あっは、やっぱ、吹っ切れないや」

男「……」

女「私ね、恋とかよくわかってなかったけどさ、やっぱ、好きだったんだ」

女「大好きだったんだ」



 53 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 20:53:26 ID:S6IRKa4E [7/8]

男「ん……」

女「結婚したって聞いたとき、おめでとうって、自然に言えたけど」

男「うん」

女「やっぱ、辛いや」

男「……うん」

女「あ、や、だからどうこうってわけじゃないんだよ」

女「10年振りに顔が見れて、声が聞けて、それで満足っていうか……」

男「嘘吐け」

女「んっ」

男「それが満足してるやつの顔かよ」

女「……」



 54 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 21:01:14 ID:S6IRKa4E [8/8]

男「勝手に結婚して、悪かった」

女「そんな、勝手だなんて」

男「お前が俺のこと好きでいてくれてるのも、知ってて」

女「やめてやめて、優しくしないで」

男「今日、会うのは楽しみだったけど、責められるのも、覚悟してた」

女「責めるつもりなんかないんだって、あれは冗談だってば」

男「だけど……」

女「いいの、勝手なのは、私の方なの」

女「勝手に好きになって、勝手にずっと好きでいただけ」

女「勝手に約束なんか、した気でいただけ」



 55 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 21:14:16 ID:S6IRKa4E [9/10]

男「そんなこと……」

女「だから……」

男「え??」

女「……んっ」チュ

男「……」

女「っへへ……」

男「お前……」

女「キス、ひとつだけ貰っていくね

男「……」



 56 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 21:23:06 ID:S6IRKa4E [10/11]

女「御免ね、奥さんいるのに、御免ね」

男「いや、その」

女「もう、私のことは、忘れてくれて、いいから」

男「馬鹿、忘れられるか」

女「忘れて」グス

男「……」

女「今までありがとう」グス

女「小学生のときも、今も、好きでいれて幸せだったよ」グス

男「……」



 57 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 21:31:53 ID:KG2v7XnQ

切ない



 58 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 21:36:42 ID:S6IRKa4E [11/11]

女「送ってくれて、ありがとう」

男「ん」

女「今度会うときは、映画ができた時か、私が結婚した時、ね」

男「あ、ああ……」

男「あ、あのさ」

女「ん??」

男「おれも、本当は、お前が大きくなっておれのところに帰ってくることを期待してた」

女「……」

男「お前はクラスで一番、可愛かった」

女「……」

男「お前はいつもおれのそばに寄ってきてくれた」

女「……」

男「好きだった。本当は、好きだったんだ」

男「これもさ、恋とは、違う感情なのかもしれないけど……」



 59 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 21:43:31 ID:S6IRKa4E [12/13]

女「あほ、遅いよ」

男「うん、御免」

女「あーあ、こんな若い子と結婚するチャンスなんて、なかなかないのになあ」

男「……はは、それは確かに」

女「いい思い出にできるよう、私、これから頑張るよ」

男「ああ」

女「奥さんと、幸せにね」

男「……ああ」



 60 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 21:53:00 ID:S6IRKa4E [13/13]

女「今日が、本当の卒業の日、だね」

男「そんな歌、あったなあ」

女「10年越しの、卒業……か」

男「証書は、ないけどな」

女「っへへ、じゃあね、ばいばい、先生

男「……ああ、さよなら」

★おしまい★



 62 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2012/06/08(金) 21:58:06 ID:q5Ke0HtM

10年前は男が先生で女が生徒だったのか?
まあ、乙。



 63 以下、名無しが深夜にお送りします  2012/06/08(金) 22:05:18 ID:wrCVlN4Y

>>62
「証書はないけどな」
証書を渡すのは先生

冗談であのセリフを言った



現在 男(34) 女(22)です



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テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

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コメントは初めてですが、毎回楽しく読ませてもらってます

読み終えたあとすぐもう一回見たら、1回目とは違う感動があって…
一粒で二度もおいしいなんてなんかズルいなぁー
『男「君に1000個のプレゼント」』の時と同じ位感動しました!(≧w≦)


次の話も楽しみにしてるのです!

Re: みりんさん

なにか「仕掛け」のある話が好きです。
読むのも、書くのも。

これも、「君に1000個の~」も、思いついた途端一気に書けました。
これからも御贔屓に。

>>11を軽く読んでたから気付かなかった
読み直したらここで分かるようになってるんだ

実はヒント、いっぱいあるんです。

>>1で男の台詞がないのは「少年」でなく「男」の台詞になっちゃうから。

女「えーっと、6歳差かあ」
男「成人式んときに中学校の制服着てるレベル」
これも学ランとかセーラー服とか言えないので、誤魔化してます。

男「この辺歩いてると、誰かに会うかもしれねえなあ」
女「誰かって、卒業生??」
男「うん、卒業生とか、他の先生とか」
これもぎりぎりです。「他の先生」って言っちゃってますからね。
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モルフェ

Author:モルフェ
HAM ◆HAM/FeZ/c2(旧)
HAM ◆HAM.ElLAGo(new)
HAM ◆s.oWWpsiPk(仮)

SS保管庫です。
ここでのSSとは、主に既存のキャラを使わないショートストーリー、ショートショートのことです。
タイトルに歌詞を引用することが多いですが、歌の世界をそのままストーリーにしているという訳ではありません。

個人的なお話はこちら
tv_pops★yahoo.co.jp

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