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男「あの日言えなかった、君への想いを」

pora06.jpg
参考曲:ポラリスの涙/音速ライン


1 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:14:04.00 ID:CcGhAh+80
男「久しぶり、だね」

女「…来てくれたのね」

男「元気にしてる??」

男「って言うのも、変か」

女「ええ、おかげさまで、元気よ」

男「あれからもう2年に、なるんだね」

女「早いわねえ」

男「君の好きだった花を買って来たよ」

女「あら、ありがとう」

女「よく覚えていてくれたわね」

女「この香り、大好きなの」


3 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:17:19.18 ID:CcGhAh+80
男「あと、これ」

女「和菓子??」

男「このお菓子、おいしいんだってさ」

男「ここに置いとくね」

女「ありがとう」

女「でもあなたって、そんなまめな人だったかしら」

男「…」

女「私とデートしてくれた時は、いっつも気の利かない人だったけれど」

男「…」

女「責めてるんじゃないわよ」

女「ただ、おかしくって」



5 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:20:27.07 ID:CcGhAh+80
男「あの頃は、二人でよく一緒に出かけたよね」

女「2年も前だけれどね」

男「楽しかったよ」

女「私もよ」

男「君と付き合ってた3年間は、最高の思い出だったよ」

女「…うん」

男「でももう、あの頃には戻れないんだね」

女「…仕方ないわよね」

女「ごめんね」



6 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:25:06.64 ID:CcGhAh+80
男「来るのが遅くなって、ごめんね」

女「まったくだわ」

男「本当は、もっと早く会いに来たかったんだけど」

男「ここ2年、ずっと会社のプロジェクトが忙しくって」

女「付き合ってた時も、よくそう言ってたわね」

女「真面目な人だもの、仕方がないわよね」

男「それに、ここに来るのがつらかったから」

女「正直な人ね」

男「あの頃もっと、時間を作って、たくさん会って」

男「君との時間を大事にしていれば、よかったと思うよ」

女「そうね」



7 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:32:17.24 ID:CcGhAh+80
男「そういえば、僕らが初めてのデートで行った水族館ね」

男「来月取り壊されるんだってさ」

女「あら、残念ね…」

男「思い出がなくなるみたいで、ちょっと寂しいよ」

女「…でも、思い出が消えるわけじゃないわ」

男「ペンギン、可愛かったよね」

女「あなたって本当に、可愛いものに目がないんだから」

男「でも本当は君の方が可愛いよって、言いたかったんだけどね」

男「勇気が足りなかった」

女「言わなくって正解だったわね」



8 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:38:43.18 ID:CcGhAh+80
男「僕が初めて君に好きだって伝えられたのは、次のデートだったかな」

男「気合い入れて、店とか予約してね」

女「すごく頑張ってくれたよね」

女「緊張したけど、そうやって頑張ってくれたことが嬉しかったわ」

男「飲めもしないワインとか頼んでね」

女「あなた、すぐに赤くなったわよね」

女「お酒、弱いくせに無理するからよ」

男「もう時効かな」

女「何が??」



9 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:47:03.62 ID:CcGhAh+80
男「あのデートプランね、本当は友達に考えてもらったんだ」

女「そうなの」

女「でも、そんなに大したことじゃないわね」

男「それだけじゃない」

男「君のお母さんにも、考えるの手伝ってもらったんだ」

女「え」

男「友達と、君のお母さんが仲良かったみたいだから」

女「それは…初耳だわ」

男「君の好きな食べ物、店の雰囲気、言葉遣い」

男「どんな服装で行くべきか、待ち合わせはどんなふうに、奢るべきか割り勘か…」

男「いっぱい聞いたんだ」

男「ごめんね」

女「恥ずかしいわ」

女「お母さん、あなたに変なこと言ってないでしょうね」



10 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 21:53:52.48 ID:CcGhAh+80
男「最初のデートは、自分で決めちゃって、空回った気がしたから」

女「そんなことないのに」

女「マンボウ可愛かったわよ」

男「どこで『好き』って言うかまで、決めてたんだ」

女「え」

男「あ、さすがにこれは、君のお母さんには相談してないからね」

女「…そう」

男「自分でちゃんと考えたんだけど…」



11 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:02:15.96 ID:CcGhAh+80
男「でも予定通りうまく言えなくって」

女「…」クスクス

男「だから帰り際、あんな風になっちゃって…」

女「駅前で叫んでくれたわね」

男・女『す、すごい好きだから!!』

男「あはは」

女「…」クスクス

男「その日にちゃんと言えてよかったよ」

女「そういう問題??」

女「こっちはすごく恥ずかしかったんだから」



12 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:07:35.17 ID:CcGhAh+80
男「あれでなんか吹っ切れて、緊張せずに君と付き合えていけたな」

女「そうね」

男「下の名前で呼べるようになって」

女「そうそう」

男「手もつなげるようになって」

女「歩道側を歩いてくれるようになったし」

男「君の好みもわかっていったね」

女「あなたの好みは分かりやすかったけれどね」



13 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:26:57.00 ID:CcGhAh+80
男「僕は、手をつなぐの、すごく好きだった」

女「そう」

男「君の体温が感じられて」

女「体温高いのよ、私」

女「知ってるでしょ」

男「それに君の小さい肩に、僕の肩がぶつかるのも好きだったな」

女「距離が近く感じられたわね、確かに」



15 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:33:29.76 ID:CcGhAh+80
男「君は意外とシンプルなものが好きだったよね」

女「そうね」

男「可愛らしいものや、カラフルなものはそんなに好きじゃなかったね」

女「そういうものが好きだったのは、あなたの方でしょ」

男「そういうところは、なんか、さばさばしていたというか」

女「悪かったわね」

男「あ、でも悪い意味で言ったんじゃないよ」

男「そういうところも素敵だった」

男「ある意味気楽に、一緒にいれたからね」



16 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:40:43.49 ID:CcGhAh+80
女「あなたはひっつくのが好きだったわね」

女「それに、ベタな恋愛が好きだった」

女「そこは少し私とは合わなかったけど、でも楽しかったわ」

男「最初の頃は、初々しかったなあ」

女「お互いにね」

男「一日中部屋でゴロゴロしてた時も、あったね」

女「テレビつけて、ベッドでずーっとひっついて、ね」

女「ちょっと距離が近すぎて恥ずかしいこともあったけど」



17 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:44:47.77 ID:CcGhAh+80
男「やっぱりデートって緊張するから、ああいう感じが僕には合ってたんだろうな」

女「うんうん」

女「のんびりするのは、私も好きだったわ」

男「こんな僕と一緒にいてくれて、本当にありがとう」

女「お礼なんて言わないで」

女「私も楽しかったのよ」

女「私の方こそ、ありがとうと言わせて」



18 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:49:20.97 ID:CcGhAh+80
男「あれ、覚えてるかな」

女「あれって??」

男「あの、プラネタリウム」

女「ああ、大学の頃の??」

男「君に告白した、プラネタリウム」

女「もちろん覚えてるわ」

男「最近、あの頃のことばかり、思い出すんだ」

男「プラネタリウムというか、あの頃のことを、ね」

女「5年くらい前かしらね」



19 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 22:59:44.11 ID:CcGhAh+80
男「君と出会って」

女「大学で知り合ったのよね、私たち」

男「少しずつ話すようになって」

女「大学の頃のあなたは、星の話ばかりしてたわね」

女「私もあなたにつられて天文サークルに入っちゃったけど」

男「星のことばかり話す僕は、君にどう思われているんだろう」

男「そうやって、僕は人と接する方法を、覚えていったのかもしれないな」

男「少しずつ、君が興味を持つような話の振り方ができるようになっただろう??」

女「私のおかげね」

男「君のおかげだ」

女「うふふ」

男「ふふ」



20 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 23:05:26.64 ID:CcGhAh+80
男「あのときも言ったけれど、僕は君を見て一目惚れしてしまって」

女「うん」

男「なんとかして同じ天文サークルで活動できないかと、毎日頭を悩ませたよ」

女「うふふ」

女「おかしかったなあ、あの頃のあなた」

男「ちょっとずつ、君が星に興味を持つようにいろいろ細工したんだけれど」

女「全部お見通しだったわ」

女「でも、あなたのそんな一生懸命さに惹かれたのも事実よ」



21 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 23:15:54.25 ID:CcGhAh+80
男「星座占いの、詳しい奴とかを教えてみたり」

男「天文雑誌を目につくように置いたり」

女「うふふ」

男「カラオケでは意識して、星の出てくる歌を歌ってたっけ」

女「そうだったわね」

男「君が天文サークルに入ってくれたときは、すごく嬉しかった」

男「大学に行けば、授業が終われば、君と一緒にいれるんだから」

女「うふふ」

男「毎日が楽しかったな、本当に」

女「私も楽しかったわ」

女「刺激的だった、というか、ね」



22 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 23:29:39.28 ID:CcGhAh+80
男「それにしても、よく勇気を出して告白できたと思うよ」

女「でも、その時『好き』だとは言ってくれなかったわね」

男「『付き合ってください』」

男「ただ一言が、とても大変だった」

女「周りにお客さんがいたのに、ね」

女「聞かれてないか、本当にドキドキしちゃって」

女「恥ずかしくって返事どころじゃなくて…」

男「でも頑張ったんだ、僕なりに」



23 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 23:37:53.54 ID:CcGhAh+80
男「君は真っ赤になって、すごく時間が経って」

男「プラネタリウムはとっくに終わったのに、2人残って」

男「だいぶ経ってから、小さくうなずいてくれて」

男「舞い上がっちゃったなあ」

女「だから恥ずかしかったんだってば」

女「待たせて悪いとは思ったけど…仕方ないじゃない」

男「あの緊張感は、一生で一番じゃないかな」

女「大げさねえ」

女「まあ私も、同じようなものだけれど」


24 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 23:43:05.06 ID:CcGhAh+80
男「あの後のことは、あんまり覚えてないんだ」

男「自分が、世界で一番の幸せ者だと思ってて」

男「君の言葉も耳に入ってなかったくらいだから」

女「私は覚えてるわよ」

女「とっくに明るくなったプラネタリウムから出るとき」

女「受付のお姉さんがこっちを見ながらにやにやしてたんだから」

女「恥ずかしいったらなかったわ」



25 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 23:50:44.56 ID:CcGhAh+80
男「まだ、若かったな」

女「今でも十分若いじゃない」

男「若くて、青くて」

女「…」

男「世間のことなんか全然わかってなくて」

男「自分の幸せで、精一杯だった」

男「君のことより、自分のことで精一杯だった」

男「人生で初めての、告白だったから」



26 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/27(金) 23:57:47.67 ID:CcGhAh+80
女「私だってそうよ」

女「あなたの告白を聞いて、舞い上がってたんだから」

女「本当に起こったことなのか信じられなくて」

女「何度ほっぺをつねってみようと思ったか」

女「人生で初めてだからね、告白されたのは」

女「初めてどうし」

女「青春ってやつね」

女「…」

女「自分で言ってて恥ずかしくなったわ」



27 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:02:46.44 ID:UV9AvrFZ0
男「君に言ったことがあったよね、僕の一番好きな星の話」

女「ええ、覚えてるわ」

男・女『北極星』

男「いつも人を導く、夜空の中心にいる北極星が好きで好きで、そして」

男「君を、僕の北極星だと言ったことも、覚えてるかな」

女「もちろん」

女「とってもクサイ台詞だったけれど、私には大切な言葉だったわ」



28 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:09:54.22 ID:UV9AvrFZ0
男「あれは、とっさの思いつきだったけれど」

男「だからこそ僕の本心が出たと思うんだ」

女「星に例えるあたりが、あなたらしいと思ったわ」

男「北極星ってね、一年中ずっと頭の上に輝いていて」

男「しかもほとんど動かないだろ」

男「理想、高嶺の花、夜空の中心」

男「君と同じだと思ったんだ」

女「その話は、もう聞いたわ」



30 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:20:30.55 ID:UV9AvrFZ0
男「あの頃の僕の生活の中心は君だった」

男「ずっと近づきたいと、手を伸ばしてた」

男「いつだって、すぐに会いたいと思っていて」

男「会えば離れたくないと思っていた」

女「でも北極星は、数千年ごとに別の星に変わるのよ」

男「…」

女「あなたの北極星は、今は誰なのかしらね」

男「…」

女「ふふ、意地悪なこと、聞いちゃったわね」



31 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:28:42.87 ID:UV9AvrFZ0
男「北極星は、もう輝かなくなってしまった…」

女「…」

男「なんて言うと、違うかな」

男「でも、そんな気分なんだ」

女「…」

男「いや、ごめん」

男「この話はやめよう」

女「もう」



35 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:39:59.52 ID:UV9AvrFZ0
女「あなたって本当に優柔不断なんだから」

男「…」

女「私に告白してくれたくせに、他の女の子ばっかり見ていたわ」

男「あの頃、君以外に好きな人なんていなかったよ」

男「自分はずっと一途だって、思ってた」

女「本当かしら」

男「あれからも、君のことを忘れたことなんてなかったよ」

女「…本当かしら」



36 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:44:08.22 ID:UV9AvrFZ0
男「ごめん、話があっちこっちにいってるね」

女「…」

男「最近思いだしたんだ」

女「何を??」

男「君は、僕の前で泣いたことは、なかったよね」

女「そうね」

男「今思うと、すごく強い女性だったんだなって感じるよ」

女「そんなんじゃないのよ」



37 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:52:40.53 ID:UV9AvrFZ0
女「涙は女の武器っていうじゃない」

女「その武器を使って、可憐な女性を演じたくはなかったのよ」

男「…」

女「ただ自分らしく素直でいただけ」

女「別に泣くのを我慢していたわけでもないのよ」

女「それに、それを言うなら、あなたはずいぶん涙腺の緩い人だったじゃない」



38 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 00:59:00.24 ID:UV9AvrFZ0
男「君と違って、僕は泣いてばかりだったね」

女「映画を見ては泣き、ドラマを見ては泣き…」

男「けんかしたとき家で泣いたこともあった」

女「それは知らなかったわ」

男「泣き虫だったなあ、僕は」

女「それだけ感情が豊かなのよ」

男「でもそれは、君と付き合ってからだよ」

女「私のせいだって言うの??」

男「君のおかげだ」

女「はいはい、私のせいね」



39 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:10:25.70 ID:UV9AvrFZ0
男「今は桜が満開だね」

女「きれいでしょう」

男「君が、2番目に好きだった花」

女「そうそう」

男「ここは交通の便が悪いけど、景色は最高だね」

女「でしょう」

女「私は毎日、桜が見れるのよ♪」

男「…桜、か」

男「2年前の今頃は、雨が多かったね」

女「…」

男「桜が散ってしまったのも、今年より早かった気がするな」

女「そうね…」



40 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:18:09.26 ID:UV9AvrFZ0
男「2年前のあの日、君に会えていれば、言いたかったことがあるんだ」

女「…」

男「聞いてくれるかな」

男「あの日言えなかった、君への想いを」

女「…」

男「あの頃僕は、どうしようもないくらい幸せで」

女「…」

男「君が好きで、君への想いでいっぱいで」

女「…」

男「でも、仕事との両立に悩んでいて」

女「…」

男「どうしようもないくらい、どうすればいいのかわからなかったんだ」

女「…」



41 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:22:38.46 ID:UV9AvrFZ0
女「よく喧嘩もしたわね」

男「…」

女「たいていは私が怒ってた」

女「私との時間をもっと大切にしてよって、ね」

男「…」

女「仕事のことはわかってるの」

女「私のことを好きでいてくれてるのも、理解してたの」

男「…」

女「でも『付き合う』ということが、あなたの負担になってるように思ったのよ」



43 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:31:00.76 ID:UV9AvrFZ0
男「君が僕をどう思っているのか、心配だった」

男「恋人ではあったけれど、本当に僕のことを好きでいてくれてるのかなって」

女「…好きだったわ、とても」

男「あの日待ち合わせに、3時間も遅れてしまって」

男「もちろん君はいなくて」

女「…」

男「いつも待ち合わせにルーズだった僕に、いい加減愛想を尽かせてしまったんだと思った」

女「…仕事、だったんでしょう」

女「怒ってないわよ」

男「本当にごめん」

女「…」



45 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:37:55.05 ID:UV9AvrFZ0
男「あの日、僕は君に結婚を申し込もうと思っていたんだ」

女「っ!!」

男「指輪も買ってあったんだ」

女「…」

男「本当は早く会社を出るつもりだったんだけど、帰る寸前に問題が…」

男「いや、やめよう。また僕は言い訳してるね」

女「…」

男「とにかく、結婚を申し込んで、君の正直な気持ちを聞きたかった」

男「困った顔をされたら、冗談で済ませようと思ってた」

男「でも僕は、一生君の傍にいたいと、本気で思ってたよ」

女「…」

女「…嬉しい」



47 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:41:49.64 ID:UV9AvrFZ0
男「今更、だけれど」

男「2年も前の気持ちだけれど」

男「今日、言おうと思ってた」

女「ありがとう」

男「あの日、言えないままにしてしまったから」

女「あなたのせいじゃないわ」

女「私も悪いのよ」

男「ごめんね」

女「…ごめんね」



48 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:47:48.75 ID:UV9AvrFZ0
女「その前の日、喧嘩してたわよね、私たち」

男「…」

女「だから、てっきり別れ話かと思って、待ってたの」

男「…」

女「待つのはつらかった」

女「あなたがなかなか来ないから、さらにつらかったわ」

男「…」

女「そして、結局あなたは来なかった」

男「…」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 01:50:11.13 ID:+E9W5Nit0
俺しか居ないみたいだが・・・気になる支援

>>49二人っきりだね///



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 01:53:04.89 ID:9E3ggxGK0
みてる

あげておく

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 01:53:45.33 ID:hSURgWV40
俺もいるぞ!

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 02:02:31.33 ID:+E9W5Nit0
2人も出てきたwww


50 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:52:10.07 ID:UV9AvrFZ0
女「もう少し早く来れていたら、ってあなたは自分を責めるでしょうね」

男「…」

女「でも、あなたは悪くないの」

女「仕方なかったの」

女「運命だったの」

男「…」

女「自分を責めないでね」



54 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 01:58:19.13 ID:UV9AvrFZ0
男「あのさ」

女「ん」

男「僕、今度ね」

女「うん…」

男「…結婚することになった」

女「!!」

女「そ、それは…」

女「…おめでとう」



56 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 02:04:20.88 ID:UV9AvrFZ0
男「君に、報告しておきたくて」

女「律義ね」

男「だから今日、来たんだ」

女「…律義ね」

男「でも、結婚するからって」

男「君のことを忘れたわけじゃないんだ」

女「わかってる」

男「君のこととは全然違う話で」

女「わかってるわよ」



58 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 02:09:09.81 ID:UV9AvrFZ0
男「上司の娘さんでね」

女「…」

男「まあ、お見合い結婚なんだけれど」

男「僕にはもったいないくらいのいいお嬢さんで、ね」

女「よかったわね」

男「今年の夏、結婚することになった」

女「本当におめでとう、ね」

男「ごめんね」

女「謝る必要なんか、ないじゃない」

男「…」



61 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 02:14:03.11 ID:UV9AvrFZ0
女「結婚、か」

男「…」

女「どんどんあなたが、遠くに行ってしまうような感じだわ」

男「…」

女「少し寂しいけれど、あなたが幸せでいてくれたら、私…」

男「…」

女「…」グス

男「…」

女「幸せに…なってね…絶対」グス



64 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 02:20:37.22 ID:UV9AvrFZ0
男「また、ここに来るよ」

女「うん」

男「今年は少しでも、この桜が長く咲いていればいいな」

女「そうね」

男「君にもこの景色が、よく見えるだろうから」

女「そうすればこの気持ちも、少しは安らぐかしらね」

男「ここに来ると、本当に君と話しているような気分になるよ」

女「私もよ」

男「…」

女「…」



65 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 02:25:07.76 ID:UV9AvrFZ0
男「じゃあ、僕はもう、行くね」

女「うん」

男「また来年、ここに来るよ」

男「君の、命日に」


女「ええ。また来年ね」

男「さよなら」

女「さよなら」


★おしまい★


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:29:13.24 ID:sExr6PZz0
最後「さようなら」の方がよかったな

正直展開読めたけどおもしろかった!

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:29:22.59 ID:E9ISnBPt0
GJ!
おやすみなさい

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 00:36:54.28 ID:hSURgWV40
女の墓前、男の独白なんてオチはやめてくれよ


68 名前:HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] 投稿日:2010/08/28(土) 02:29:37.57 ID:UV9AvrFZ0
見てくれたありがとうございました
ID:hSURgWV40にバレたのはショックだったが、やっぱわかりやすかったかなorz


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 02:33:05.49 ID:O89NhMTX0
>>68
女は死?

>>69
2年前、男が約束に遅れたため(突っ込んだ車により)事故死
ショックで葬儀も出ず1年前の命日も墓参りせず
というイメージですが、まあ好きに想像してください




71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 02:45:55.17 ID:O89NhMTX0
>>70
ありがと

哀しいな

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 02:47:47.71 ID:hSURgWV40
大層乙であった
ネタバレごめんね

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ジャンル : 日記

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病院かと思って読んでたら墓前かよ…

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切ない……
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モルフェ

Author:モルフェ
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SS保管庫です。
ここでのSSとは、主に既存のキャラを使わないショートストーリー、ショートショートのことです。
タイトルに歌詞を引用することが多いですが、歌の世界をそのままストーリーにしているという訳ではありません。

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